今回は夏になると読み返したくなる一冊の「レヴォリューションNo.3」をご紹介します。
この作品はどんな困難にも立ち向かい、行動すべき事の大切さを教えてくれる小説なんです。
あらすじ
主人公は南方という新宿の高校に通う学生。
その高校は有名進学校が多い新宿のなかでもピカイチの落ちこぼれ男子校なんです。
男子高なので、もちろん女子はいません。
この高校は、有名進学校に通う生徒から「ゾンビ」と呼ばれているんです。
「偏差値が脳死と判定されてしまう血圧値くらいしかないから」
「殺しても死にそうにないから」
この2つらしいです(笑)
どっちもヒドい言われようですが、南方は後者がお気に入りなんだそう。
そんな高校に通う南方ですが、彼には友達がいます。
登場人物
喧嘩の腕っぷしがピカイチなんだけど、読書家で知的な「朴瞬臣」
リーダー的な存在の「板良敷ヒロシ」
家が貧しいのでバイトに明け暮れる「萱野」
4カ国の血が混じりイケメンの「佐藤・アギナルド・健」
とことん不運な「山下」
主要メンバーは以上ですが、話ごとにまた新たな登場人物が出てきます。
レヴォリューションNo.3
本作の1話目にあたる「レヴォリューションNo.3」は生物教師の米倉(通称ドクターモロー)の
退屈な授業中、ふとドクターモローが放った
「君たち、世界を変えてみたくはないか?」
という一言にあてられたゾンビーズが、近くの「聖和女学院」の学園祭に忍び込もうとするお話。
聖和の学園祭は入場にチケット制を導入しており簡単には侵入出来ません。
そんな鉄壁な学園祭にあの手この手でなんとか入り込もうとするのですが、
1年目、2年目と失敗に終わります。
3年目の作戦ですが、それまでの作戦とは違った作戦を計画します。
果たしてその作戦は成功するのでしょうか………
ラン、ボーイズ、ラン
2話目は聖和学園祭襲撃作戦のあとのお話。
ゾンビーズのメンバーで沖縄に行くためにバイトをしてお金を貯めるんですが、
とある事件でお金が奪われてしまいます。
奪われた先はお坊ちゃま学校に通う、優等生のグループ。
エスカレーター式で進学し、将来を約束されたような彼らに対し、
落ちこぼれの集団ゾンビーズは反逆を試みます。
そもそもなぜ沖縄に行くのでしょうか。
それには彼ららしい仲間思いの理由があるんです。
異教徒たちの踊り
本作最後のお話は「異教徒たちの踊り」
今作はシンプルに「ストーカー被害に困っている女性を助けて欲しい」
というもの。わかりやすいですね。
被害女性を助けるため犯人探しを始めるのですが、
犯人は意外な人物なんです。
正直、犯人がわかってもスッキリしません。
犯人を追い詰め、動機を聞いても理解は出来ません。
そもそもストーカーの心理なんて理解出来ないですからね。
本書のなかで一番好きなシーンがストーカー事件の後日にあるんです。
彼らは学校の屋上に集まりダベっているのですが、
ヒロシにいつもしていたお話をしてもらうように頼みます。
その話の最後……最高なんです………
感想(ネタバレあり)
私、こういう落ちこぼれなんだけど社会の仕組みや不条理にあらがって生きる姿が大好きなんです。
本書の他には石田衣良の「池袋ウエストゲートパーク」シリーズが大好きです。
落ちこぼれで馬鹿かもしれないけれど、生き様が傾いていて芯がある。
こんなふうに生きていきたいと何度も励まされました。
・ドクターモローに「君たち、世界を変えてみたくはないか?」と言われ、
考え行動し、下手な作戦ではなく、正面突破で突入して勝利を勝ち取る姿。
・大切な友達ヒロシが亡くなってしまい、墓参りのための資金を取り戻す痛快さ。
友達というより仲間と言ったほうがピッタリくる、そんな関係性。
・「異教徒たちの踊り」の最後にヒロシが話してくれた、
沖縄にいた時に出会ったリトル軍曹の
「何があっても、踊り続けるんだ」の力強さ。
雑草魂とは少し違うかもしれないけれど、何度潰されてもへこたれない姿に心励まされます。
「きっと踊り続ければ世界はかわるよ。」そんなメッセージを感じます。
青春を少し思い出したい時に是非お読み下さい。
コメント