夏休みの時間を使って意識的に読書をしています。
今回は百田尚樹さんの「カエルの楽園」を読んでみました。
様々な方が読まれていて賛否両論ありますが、個人的に読んで損のない一冊であると思います。
ざっくりのあらすじですが、主人公のアマガエルがすみかを追われたどり着いた場所は、
争いのない平和な楽園だった。しかしあることがきっかけで内部で対立が起きてしまい、
カエル同士の意見のぶつかりあいが始まってしまう……というお話。
読んでみるとわかるのですが、日本の事を題材にしているようなのです。
あくまで個人的な見解になります。
他意はありませんのでご理解下さい。
※本記事はネタバレを含みます。ご了承下さい。
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「三戒」の教え
本書の登場カエル(?)や場所、考え方はそれぞれあることに当てはめる事ができます。
見方によって異なるかもしれませんが、私は日本社会について述べているのではないかと感じました。
すみかを追われた主人公のソクラテスは仲間を引き連れ新天地へ旅を始めます。
しかし旅の途中で次々に困難が降り注ぎ、仲間が減っていきます。
ついには2ひきとなってしまいます。
疲れ果てた2ひきはそれでも旅を続け、ついに資源豊富な楽園を見つけるのです。
楽園には先住人のツチガエル(主人公はアマガエル)がおり、「三戒」なるものを守って
生活していました。その三戒とは
カエルを信じろ、カエルと争うな、争うための力を持つな、の3つです。
ツチガエル達はこの三戒を信じ、守っているおかげで平和に暮らしているというのです。
主人公達は感激し、この国で学び、自国へ持ち帰り参考にしようと喜びます。
三戒を詳しく学ぼうと、ツチガエル達に聞くのですが、いまいち内容(本質)を理解しているカエルがいません。
「昔から守っているから。」「みんな守っているから。」と
どこか他力本願に考えてしまっています。
また平和な理由を「三戒があるから」としか考えていません。
ソクラテスがどのツチガエルに聞こうとも三戒があるから平和であると疑いもしません。
はたして三戒があるから平和なのでしょうか。
転機
ツチガエルの国で見聞をすすめるうちに、多数のツチガエルとは違う考えを持つツチガエルに出会います。
そのツチガエルは三戒の起源を知っていて、世間とは少し違う考えをもっていました。
さらに少し物語を進めると、ツチガエルのすみかは崖で覆われているのですが、
その崖にウシガエルがやってきたのです。
ウシガエルは凶暴で他のカエルと食べてしまうのです。そんなウシガエルに対し、
立ち向かうカエルがいました。そのカエルはツチガエルなのですが、ツチガエルのなかでも強く、
ウシガエルに引けを取らないくらい強いカエルなのです。
強いツチガエルの登場で、ウシガエルは撤退していくのですが、
ツチガエルの指針を決める元老会ではこの度の出来事への対応を検討していました。
議会は保守派と改革派に別れます。
ウシガエルと対話し平和を推進する保守派、侵略を許さない改革派の間で議論が交わされます。
保守派は三戒を守り、対話で解決しようと提案します。
一方、改革派は三戎を撤回し、ウシガエルと戦う事を提案します。
議論は白熱し、最終的には保守派が改革派を下し、
侵略するウシガエルへ対話での解決を進めていきます。
三戒を守った結果…
三戒はツチガエルを守ってくれる教えだったのですが、
結局、対話での解決にはなりませんでした。
改革派は惨殺、保守派は奴隷としてウシガエルに侵略されてしまいました。
侵略される前、ツチガエル達は口々に「三戒が守ってくれる」と言っていました。
ただ、暴力の前には三戒はなすすべなく、屈する形となりました。
大事なことは、三戒を守る守らないという点よりも、本質を見抜き対応する事が必要であったという
ことではないのでしょうか。
ツチガエル達が守ったのは、ツチガエルの命ではなく「三戒」だったのです。
議論が進まず、解決策も論じず、三戒を盾に、考える事をやめ、
流れに身を任せてしまったので、ズルズルと引き伸ばし、為す術もなくなってしまいました。
問題から逃げ、他力本願で、決定することを先延ばした結果です。
まさに「茹でガエル」状態だと思いました。
まとめ
ネットでは本書に対し様々な考察が掲載されています。
巻末にも百田尚樹さん以外の方があとがきを残しています。
おそらく日本の事を暗喩しているかと思いますが、
政治色が強いので、あくまで一つの考えだと思ってお読み下さい。
本書に限らず、どの本にも言える事ですが、鵜呑みは危険です。
筆者の考え、背景、調査資料、文章構成によって、
薬にも毒にもなるのが「本」だと思っているので、
この本のエッセンスはなんだろうか?と常に考えるようにしたいですね。
本書は一つの考え方として受け取ろうと思います。
たた「茹でガエル」になることだけは絶対に避けたいので、
「思考停止をやめる」「茹でガエルにならないように気をつける」
以上の2点を今回の教訓とします。
お読み頂きありがとうございました。
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